こんにちは!就労継続支援施設B型 歩の大波です。
発達障害をお持ちの方やそのご家族の中には、「向いている仕事ってどんな仕事?」「働きやすい職場はどうやって見つければ良いの?」と悩まれている方も多いと思います。
そこで今回は、発達障害それぞれの特性に合う仕事やその探し方を詳しく解説します。
一般雇用枠と障害者雇用枠の違いやお仕事探しで活用できるサポート制度についてもお伝えします。
目次
発達障害の各特性と向いている仕事を解説
発達障害には主に ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉スペクトラム症)・LD(学習障害) の3つがあり、それぞれ特徴が異なります。
■ADHD(注意欠如・多動症)
アイデアが豊富で行動力もある一方、注意が散漫になりやすく、ミスや忘れ物が多い傾向。興味のあることには強い集中力を発揮するものの、興味のない作業は後回しになりやすいという特徴も。
■ASD(自閉スペクトラム症)
特定の分野に強いこだわりを持ち、正確さや論理的思考に優れる一方で、対人関係や臨機応変な対応が苦手。環境の変化に強い不安を感じやすく、予測できるルールや安定した日常の中で力を発揮しやすい特徴も。
■LD(学習障害)
知的能力には問題がないものの、読む・書く・計算など特定の学習分野に困難がある。
主に「読字障害」「書字障害」「算数障害」の3つのタイプに分かれる。
それぞれの特性に応じて、向いている仕事と避けたほうが良い仕事とを見ていきましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)の方が向いている仕事
ADHDの方は、発想力や行動力を生かせる環境に適しています。
具体的には以下のような仕事です。
- 変化が多くクリエイティブな仕事
- 体を動かしながらできる仕事
- 興味がある分野で集中力を発揮できる専門職
【具体的な職業例】
営業職、販売職、記者・編集者、研究者、清掃業、介護職、Webデザイナー、イラストレーター、広告ディレクター、エンジニア、プログラマー、商品企画職など。
一方で、「集中が続きにくい」「思いついたことをすぐ行動に移す」といった特性がある場合、以下のような仕事は避けたほうが安心です。
- 単調で長時間の継続作業
- 複数業務を同時にこなすマルチタスク中心の仕事
- 細かなミスが許されない事務作業
ASD(自閉スペクトラム症)の方が向いている仕事
ASDの方は、集中力や正確性、論理的思考を生かしやすい環境が向いています。
具体的には以下のような仕事です。
- 明確なマニュアルがある定型作業
- 一人で集中して取り組める仕事
- 正確性やこだわりを発揮できる専門職
【具体的な職業例】
倉庫での仕分け、設備点検、部品管理や整理などの軽作業、システム・アプリ開発、プログラマー、データ入力、ライター、翻訳家、校正者、法務・経理・財務担当、研究者、図書館司書、駅員など。
ただし、「特定分野への強いこだわり」「人とのコミュニケーションや臨機応変な対応が苦手」といった特性がある場合、以下のような仕事は避けたほうが安心です。
- チームでの作業が多く、コミュニケーションが必須の業務
- 頻繁にルールや手順が変わる仕事
- 臨機応変な対応を求められる接客業務
LD(学習障害)の方が向いている仕事
LDの方は、苦手な分野が異なるため、どの能力で苦手を感じるかで向いている仕事が異なります。
苦手な分野への対策ができる、以下のような仕事が向いているでしょう。
- 読字障害:体を使う作業中心の仕事、口頭でのコミュニケーションが多い仕事
- 書字障害:デジタル機器の使用が中心の仕事、手書きが不要な仕事
- 算数障害:計算が不要な仕事、手順が決まっている仕事、感性が生かせる仕事
【具体的な職業例】
- 読字障害:デザイナー、カメラマン、職人、調理師など
- 書字障害:プログラマー、データ入力、工場での軽作業、CADオペレーター
- 算数障害:工場でのライン作業、清掃、配送業、デザイナー、イラストレーター、アニメーター、俳優 など
LDは知的発達に遅れはないものの、「読む」「書く」「計算」といった特定分野に困難がある特性です。
障害の種類によって苦手分野が異なるので、例えば以下のような仕事は避けたほうが安心です。
- 読字障害:大量の文書を扱う事務作業
- 書字障害:口頭指示が多く、メモを取る必要がある仕事
- 算数障害:複雑な計算や数値処理が中心の業務
発達障害の方の一般雇用枠・障害者雇用枠の就職方法
発達障害の方が就職する際には、「一般雇用枠」と「障害者雇用枠」の選択肢があります。
それぞれに特徴があり、どちらを選ぶかは個人の状況や希望によって決まります。
一般雇用枠での就職
一般雇用枠で障害があることを開示せずに就職活動を行う場合、以下のようなメリットがあります。
- 職種や企業の選択肢が幅広い
- 給与水準が比較的高い傾向にある
- キャリアアップを目指しやすい
ただし、特性への配慮が受けにくい場合があること、ストレスを感じやすい環境になる可能性があることに注意が必要です。
そのため、向いている仕事を選ぶことが重要になります。
障害者雇用枠での就職
障害者雇用枠は、障害があることを前提とした雇用です。
利用には身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳が必要ですが、以下のようなメリットがあります。
- 障害の特性に応じた配慮を受けながら働きやすい
- 苦手なことや得意なことを周囲に理解してもらえる
- ミスを防ぐ取り組みや仕事の相談がしやすい
- ストレスや不安を解消しやすい
ただし、一般雇用枠に比べて求人数が限定される場合があること、給与水準が一般雇用枠より低い傾向にあることが注意点です。
どちらを選ぶかは、ご自身の障害特性の程度、必要な配慮の内容、キャリア目標などを総合的に考慮して決めることが大切です。
また、一般雇用枠や障害者雇用枠のほかに、福祉サービスを利用して働く「就労継続支援」という選択肢もあります。
就労継続支援は、すぐに一般企業での就職が難しそうな場合、段階的にスキルを身につけたり、働くリズムを整えたりしながら就労を続けられる仕組みです。
次で詳しくご説明しますので、ぜひ検討してみてくださいね。
発達障害のある方が活用できる就職へのサポート
発達障害のある方が就職活動で受けられるサポートは数多く存在しています。
通常の就職が難しい場合には、段階的に働く力を身につけられる「就労継続支援」といった制度もあります。
一人で悩まず、これらの支援を積極的に活用することで、より自分に合った働き方を見つけることができるでしょう。
ハローワーク(障害者専門窓口)
障害を持つ方専門の窓口があり、発達障害の方に特化した就職支援を受けることができます。
専門の相談員が、求人紹介から職場定着まで一貫したサポートを提供してくれます。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
就職だけでなく、生活面でもサポートを受けられる機関です。
就職活動の支援はもちろん、生活習慣や健康管理、各種手続きなどもサポートしてくれます。
就労移行支援
18歳以上65歳未満で障害のある方を対象に、就職に必要なスキルの習得や職場定着をサポートする制度です。
応募書類添削・面接練習、職場実習、コミュニケーション訓練、ビジネスマナー講座などを受けることができます。(利用期間は原則2年)
就労継続支援
一般企業で働くことが難しい方が支援を受けながら働くことができる制度で、A型とB型があります。
就労継続支援A型
雇用契約を結び、最低賃金以上の給料が支払われます。
一般就労に向けた準備として利用される場合が多く、事業所のスタッフから業務指導や生活面のサポートを受けながら、安定した職場環境で働けます。
就労継続支援B型
雇用契約を結ばず、体調やペースに合わせて働くことができます。
作業に応じた工賃が支払われ、就労の負担を抑えつつ社会参加の経験を積み、生活リズムを整える場としても活用できます。
私たち「歩(あゆみ)」は就労継続支援B型として、発達障害をお持ちの方が安心して働ける環境を提供しています。
JR手稲駅から徒歩3分の通いやすい立地で、精神保健福祉士やキャリアコンサルタントなどの専門スタッフが常駐。
体調や生活リズムに合わせて、週1回から無理なく始めることができ、将来的な一般就労も見据えたサポートを行っています。
軽作業やパソコン作業など、さまざまな訓練プログラムをご用意していますので、ぜひお気軽にご相談くださいね!
また、2025年10月以降、就労継続支援A型・B型を新たに利用する際は、原則として就労選択支援の利用が必須となります。(A型は2027年4月~)
就労選択支援については「就労選択支援をわかりやすく解説!新制度の内容と利用方法」で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてくださいね。
発達障害の方が向いている仕事を見つけるために確認しておくポイント!
発達障害の方が自分に合った仕事を見つけるためには、自分の特性や希望条件を整理しておくことが重要です。
就職に関する相談や自分に合う就職先のアドバイスをもらうときに、あらかじめ整理して伝えることで、より適切なサポートを受けやすくなります。
就職活動を進める前に、以下のポイントを整理しておきましょう。
得意なことと不安なこと・苦手なことを整理する
まず、ご自身の得意なことと苦手なことを具体的に書き出してみましょう。
得意なことの例
- 一回集中すると作業が早い
- 決まった手順に沿って正確に作業することが得意
- 細かい部分に気づくことができる
- 新しいアイデアを考えることが好き など
苦手なこと・不安なことの例
- 複数のことを同時に進めるのが難しい
- 人との会話やコミュニケーションに疲れやすい
- 急な予定変更に対応するのが苦手
- 音や光などの刺激に敏感 など
どんな仕事や仕事環境だと働きやすそうか考える
次に、どのような環境や条件なら安心して働けるかを考えてみましょう。
働きやすい環境の例
- 静かで落ち着いた環境
- マニュアルや手順書がしっかりしている職場
- 休憩時間を自分のタイミングで取れる
- 在宅勤務や時短勤務が可能
- 同じメンバーと長期間一緒に働ける
以前の職場で起きやすかったトラブルを振り返る
過去の職場経験がある方は、どのような場面で困ったり、ストレスを感じたりしたかを振り返ってみましょう。
よくあるトラブルの例
- 口頭での指示を聞き逃してしまった
- 締切に間に合わなかった
- 職場の雑談に参加するのが難しかった
- ケアレスミスが多かった
発達障害の各特性を理解して向いている仕事探しを
発達障害のある方でも、ご自身の特性を理解し、それを生かせる仕事を選ぶことで、安定して働き続けることができます。
ADHDの方は発想力や行動力を生かせるクリエイティブな仕事や営業職、ASDの方は正確性や集中力を生かせるデータ入力や軽作業、LDの方は自分の苦手分野に関連しない仕事など、それぞれの強みを生かせる職業があります。
また、ハローワーク、就労移行支援、就労継続支援など、さまざまなサポート制度も充実していますのでぜひ活用してみてくださいね。
事前に自分の得意・不得意や希望する働き方を整理し、適切な支援を受けながら就職活動を進めることも大切です。
就労継続支援施設B型「歩」は、発達障害のある方がご自身に合った働き方や就職を見つけるお手伝いをさせていただいています。
就労継続支援に関するご質問や、就労に関するお悩みがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。